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鼠径ヘルニアってどんな病気?

下腹部から脚の付け根の部分を鼠径部といいます。この部分の筋肉を包む強い膜(筋膜)が、加齢などによって弱くなり、腹圧を支えきれなくなるために、お腹の内側を内張りしている膜(腹膜)が袋のようになって突出してきます。これを鼠径ヘルニアといいます。

どんな症状がでるの?

脚の付け根の部分の溝の上の部分が、ふくれて飛び出してきます。男性の場合は、ふくれが陰嚢の方にまで及ぶことがあります。脚の付け根の溝の下側がふくれる場合は、大腿ヘルニアといい、これも、鼠径ヘルニアと同じ原因で起こります。ふくれているだけで、他に症状が全く出ない場合もありますし、違和感や痛みを覚える場合もあります。

放っておくとどうなるの?

ヘルニアのふくれた部分には、小腸、大腸、大網(胃から垂れ下がる脂肪の膜)などの内臓が入り込みます。そのまま元に戻ってくれているうちはいいのですが、入り込んで時間が経つと、むくみが生じてさらに戻りづらくなり、これをヘルニアの嵌頓(かんとん)と呼びます。こうなってしまうと、狭い空間で内臓が押し縮められるために壊死してしまう場合があり、大がかりな手術が必要となる場合があります。

治療はどうするの?

鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアは、手術以外の治療法はありません。薬や治療器具など、手術以外の方法は、全く効果がありません。鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアの診断がついたら、手術を受けることが可能な方は、原則全て手術を受ける必要があります。
※ただし、50歳未満の片側しかふくれていない方で、ヘルニアの発症からある程度時間が経過している場合は、注意深く経過を観察しながら、手術をしない場合もあります(Watchful Waiting)。

手術までの診察の流れはどうなるの?

鼠径ヘルニアかな?と思ったら、当院の外科を受診してください。鼠径ヘルニアの診断がついて、当院での手術を希望する場合は、その時点で手術日を決め、準備のための採血を受けていただきます。他の病気で治療中で、他院からお薬の処方を受けている場合は、処方の内容がわかる書類(お薬手帳など)を必ずご持参ください。手術の内容についての説明は、お話を聞いていただける家族の方とご一緒に、初診日から手術日までの間に主治医から行います。わからないことがあれば、ぜひ質問してください。

手術はどういう風にするの?

当院では、局所麻酔を使用した日帰り手術を行っており、手術日は、原則、水曜午後となっています。手術開始時間の1時間前に来院していただき、体調のチェックと手術の準備(着替えなど)を行ったのち、看護師と一緒に歩いて手術室に入室していただきます。局所麻酔とは、痛み止めの注射を手術する場所に直接注射する方法です。注射を行ったのちに、鼠径部を約5センチほど切開し、ヘルニアの袋を取り出して、必要があれば切除します。その後、弱くなっている筋膜を補強するための人工の網を留置し、切開を閉じて終了です。皮膚は、原則抜糸のいらない方法で縫合します。手術時間は30分ほどで、手術室にいる時間は、1時間ほどになります。手術後は1時間ほど別室でお休みいただき、問題なければ、歩いてご自宅にお帰りいただきます。

手術後の通院はどうなるの?

原則、手術の翌日と、手術の1週間後は、外来を受診していただきます。問題なければ、通院はそれで終了です。

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