閉塞性動脈硬化症とは?
動脈硬化によって、腹部、脚の血管が狭くなったり、つまってしまったりして、脚が必要とする血液を送れなくなってしまう病気のことを、閉塞性動脈硬化症といいます。近年、高齢化、生活習慣の変化などに伴い、患者数は増加してきており、75歳以上の有病率(病気にかかっている人の割合)は、15~20%にも及ぶとされています。男性に多く、喫煙、糖尿病、高血圧、脂質異常症などが、危険因子(病気にかかりやすくなる原因)とされています。どういう症状があるの?
足が冷える、しびれるなどの自覚症状で来院される場合もありますが、ある一定の距離、あるいは一定の時間歩くとふくらはぎの辺りが痛い、苦しい、という症状(間歇性跛行(かんけつせいはこう)といいます)を自覚して病院に来られる患者さんが多いようです。どこを受診してよいのかわからないため、整形外科や内科のお医者さんを受診して、血管外科に紹介される場合も多数あります。病気が進むとどうなるの?
治療を受けずに、放置しておくと、足の色が紫色になってきたり、歩かない状態でも足のゆび先が痛んだりします。さらに放置しておくと、足の指の色がさらに悪くなって黒く変色してきます。身体が不自由であまり歩かない、あるいは、寝たきりの人の場合は、歩かないために、跛行症状(歩くと脚が苦しい、痛む)が出ません。そうすると、病状が進むまで気がつかないでいて、色が悪くなったり壊死が進行してから、あわてて病院に駆け込む例も多く見られます。どんなふうに診察するの?
あなたの困っている症状をお伺いした後で、下肢の状態について実際に診せていただき、さらに脚の脈を診ます。さらに両方の腕、脚の血圧を同時に計測する検査を受けていただいた後で、病気の状態、治療方針についてご説明します(診察の混み具合によって検査を先に受けていただく場合があります)。血圧の検査以外にする検査はあるの?
患者さんの状態によっては、血管がどこでどのように狭くなったりつまったりしているのかを見るために、下肢血管の超音波検査やCT(断層写真)の検査を受けていただく場合があります。超音波検査は最新の検査機器で診察を担当した医師がその日のうちに行うことができます。CT検査が必要な場合は、当院では検査の設備がありませんので、近隣の病院へご紹介して検査を受けていただきます。歩くと脚が痛む症状の場合は、どういう治療があるの?
動脈硬化は全身の病気です。脚の血管に動脈硬化がある場合には、すでに、心臓や、脳、頚部の血管に動脈硬化が発症していている患者さんも多数おられます。また、危険因子である、糖尿病、高血圧などにかかっている患者さんも多く見られます。そうした病気の治療をきちんと受けていただくことがまず第一です。さらに、もう一つの大きな危険因子である喫煙は、絶対に中止しなくてはなりません。禁煙は、治療を受けていただく上での大前提です。その上で、生活で気をつける点(適切な運動など)について指導します。また、多くの場合は、飲み薬を服用していただきます。ほとんどの場合は、外来で治療を受けることができます。